OPとOA



腰椎X線(正面):椎間の全面狭小化のように見えるが硬化の陰に陥凹がある

腰椎X線(側面):骨折椎体近くに骨棘があるが断層X線でみると実際の椎間の中央部はさほど狭くない。







骨棘、変形が明らか

しかし実際は椎間中央が拡大している
変形性脊椎症(OA)と骨粗鬆症(OP)についてお話しいたします。この2つの疾患は生理の終わった女性ではしばしばみられる病気です。合併して起こるのですが、今まで、この2つの疾患を「対極」ということで治療がなされないままに位置づけられてきました。しかしながらこれは誤った先入観です。典型的なOAの症状とX線のOA所見をみる場合でも、なお骨粗鬆症の存在を忘れてはなりません。

もちろん、OAでは脊柱管狭窄の鑑別を含めMRIの精査なども重要ですが、たとえ他の疾患があっても、同時にある著明な骨粗鬆症に対する薬剤治療が必須です。ところで「なぜ対極と考えるのか」という背景には、整形外科の一部の先生が「骨粗鬆症はあくまでも腰痛症の除外診断」と誤解されてきた歴史があります。
そのため「腰痛症」の鑑別診断で変形性脊椎症(OA)の所見があれば「それが痛みの原因」とするだけでなく、そこで「骨粗鬆症は考えられないから除外」という短絡に陥るのです。さらに「OAは骨の増える病気」、「骨粗鬆症は骨の減る病気」と非常に単純な発想で割り付けられたために「対極」となったようです。

ところが実際の臨床ではOAとOPの合併頻度は非常に高いのです。それどころか、骨粗鬆症に引き続いて変形性脊椎症が多発します。これは圧壊骨折骨片の脊柱管陥入のことを言っているのではありません。椎体、椎間関節の硬化や骨棘などOAの所見は第一腰椎の圧迫骨折に隣接する椎体で最も顕著です。
X線読影で「椎間の狭小化」はOAを支持する所見ですが「椎間のどこが狭いか」の観察が粗雑になりがちです。

閉経後骨粗鬆症の「圧迫骨折」では椎間板の髄核が圧迫する椎体終板の中央部に応力がかかり、そこが陥凹します。すなわち椎間板の中央部は殆どの場合開大し、髄核は扁平どころか、逆に開いて「伸びきって」います。そして椎間板の中央髄核部が拡大して支えきれず、椎間板の円周の繊維輪部が狭小化します。
その結果、椎体同士は近づき、後方の椎間関節の負担が増し、椎間の靱帯や筋の弛緩が椎体不安定性の原因となります。

閉経後OPの椎体骨折の殆ど100%が広義の魚椎です。「魚椎は稀」という意見は斜め撮影のX線で読影をするための誤診です。
もちろん椎間板全体が扁平に狭小化する例もありますが、終板の中央部が開大する例が圧倒的に多いのです。まず自分で虚心にX線を観察すれば「骨量を増やせば変形性脊椎症になる」などの意見が、「いかに的はずれな思い違いであるか」が判ります。誤った先入観のために、骨粗鬆症の薬物治療の機会を万一にも失することがないように心がけなければなりません。